告白を信じれない人間不信な女性と、果たして付き合えるのか/『ケンガイ』大瑛ユキオ(全3巻)
就活をドロップアウトして、
レンタル屋さんでバイトを始めた主人公の伊賀くん(23)は、
1コ上の先輩・白川さんに一目惚れ。ぱっと見、悪くないルックスの彼女。
ところが、職場の先輩達からは
「マニアックな映画にしか反応しない変わり者」という評判しか聞こえてこない。さらに、彼女がいつもつるんでいる同僚と
2人セットで「圏外」と呼ばれており、
恋愛対象からは完全に除外されていて…!
美人な女性と付き合うことは、めちゃくちゃ難しい。
しかし、『ケンガイ』のヒロイン、白川五十鈴(いすず)ほどではありません。
ということは五十鈴は、橋本環奈のような「1000年に1人の逸材」なのか?
違います。
ルックスは決して悪くはないのですが、愛想がなく、化粧もロクにしません。
彼女にするのが難しい理由は、五十鈴が人間不信だからです。
詳しいところが書かれていないのですが、五十鈴は育ってきた環境に難があり、人としてごく一般的な「愛される経験」というものをほとんど持っていません。
親に愛情を注いでもらったり、友達と友情をはぐくんだりといった、情のやり取りが極端に少ないのです。
五十鈴の人間不信っぷりが垣間見える一言をご紹介します。
あたしは悪意を信じる。悪意に嘘はないからね。
好意って嘘っぽくてなんだかわかんないや。
可哀そうなことに、主人公の伊賀くんは何度も告白することになるのですが、
このセリフは最初の告白の返事です。
冗談なしに、愛の告白すら、素直に信じて受けとることができないのです。
さらに、そういった背景からだと僕は思うのですが、五十鈴は映画に夢中で、恋愛に全く興味がありません。
どれくらいかといえば、映画館やDVDに所持金のほとんどを使い果たし、電気代が払えなくなったり、食費がなくなったら、近くに生えている柿を食べているほど。
人間不信で愛されることをしらない五十鈴。
そんな五十鈴が、正面から愛をなんどもぶつけてくる伊賀くんの登場によって、
どのように変わっていくのか。そして、その愛を素直に受け止め、伊賀くんと付き合えるのか。
全3巻でサクッと読めるので、自分の目で確かめてくれえええ!!!
またな!